108 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 00:46:48.57 ID:hqzLBEKk0
【第三十二話】妖場K◆ws148WRg2A 様『振り向いた顔』
私が小学校低学年の頃の出来事です。
日曜日の早朝、ふと目が覚めてしまいテレビでも見ようかとリビングへ行くと、テーブルの前にこちらに背を向けて正座をしている女性の姿がありました。
お祭りの時に着るような白地に青の浴衣姿で、髪は肩くらいまでの三つ編みだったと思います。
姉かと思い声を掛けました。
「おねえちゃん?」
その女性がゆっくり振り向きます。
知らない人でした。
急に恐怖がこみ上げ、這うようにして部屋に戻りました。
隣の姉の部屋とはふすまで仕切っているだけで、そのふすまには穴が開いていましたので、念のため覗きこみます。
ぐっすりと寝ている姉が見えました。
やっぱりお姉ちゃんじゃない。じゃああの人は誰?
布団を被り、母が起こしにくるまでずっと震えていました。
家族が起きてから玄関を確認しましたが、鍵もチェーンもしっかり掛かっており、住んでいたのはマンションの三階だったため窓から入ることも不可能でした。
それより不思議なことは、なぜアレが姉だと思ったかです。
姉は6歳年上で当時中学生。ショートカットでしたし、活発で浴衣姿など見たことはありませんでした。
そして、振り返った女性の顔。
確かに、知らない人だ、と判断できる程に見つめたのにも関わらず、全く思い出せないのです。
まるで、顔なんて元々なかったかのように……
【了】
引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/
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