【第十五話】 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 様 『ミルクと炒り子』
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親戚の話。
彼女が勤めている幼稚園では、時々子供たちが妙なことを言い始めるらしい。
着席するように号令すると、「この子の椅子がありませーん」と皆が訴えてくる。
「えっ、どの子の椅子が無いの?」と聞き返すと、
「この子の椅子が無いでーす」と言って、子供らは揃って教室の一角を指し示す。
しかし、彼女を含め先生方には、そこに誰の姿も確認できないのだそうだ。
大人と子供が「見える」「見えない」で押し問答をしている内に、
その見えない子は教室から出て行くのだという。
「あ、出て行っちゃった」と子供が口に出すと、それからやっと普通に授業が
始まるのだとか。
最初は悪戯かとも思っていたのだが、これが頻繁に起こるようになると流石に
先生方も気に掛かり、近くのお寺さんに頼んで御祓いをすることにした。
御祓いが終わると、お寺さんは帰る前にこう述べた。
「子供とお爺さんが一人ずついましたよ。
まぁ、これで静かになるでしょう。
でももし次にこんなことが起こったら、そうですな、その時はミルクと
炒り子(鰯煮干し)をお供えしてあげてください」
引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/
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お坊さんの言う通り、その日以降、見えない子は現れなくなった。
そして一年が過ぎた頃、また子供らが「この子の椅子がありませーん」と
口にするようになったという。
お坊さんの言葉を思い出し、ミルクと炒り子をお供えしてみた。
すると、見えない子はぱったり現れなくなったそうだ。
「それからも、大体一年周期でこんなことを繰り返していますよ。
でも、なんでミルクと炒り子なんでしょうかね。
ミルクが子供の分で、炒り子はお爺さんの分なんですかね」
そう笑いながら彼女はこの話を教えてくれた。
「いやそれって本当は、子供やお爺さんとは違うのじゃないかな」
そんなことを私は考えたが、口に出しては言わなかった。
【了】
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