【十七話】 鳥 ◆51rSCuJ4NA 様 『やばいぞ』
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あれはちょうど、数年前の夏休みの日の出来事です。
当時学生だった私は、毎日部活に明け暮れる日々で、夏休みなど遊ぶ暇がなかった気がします。
そんな夏休みが終わる頃、私は友達3人を肝試しに誘いました。
ちょうど部活が同じであった、A君、B君、部活は違えどクラスメートだったC君です。
私が誘ったのは大きな看護学校(廃校になっている)
いつも部活の帰りに目にする、大きな建物です。
この建物、私が物心ついた時から廃校であり、廃校のまま綺麗な状態で建っているという、
なんとも不思議な学校でした。
私としては、前々から何か不穏な、何か不気味なものを感じていました。
肝試し当日は、夜の10時(学生ですから)に集まり、侵入できそうな窓を探し、そこから入りました。
外から見たイメージと変わらず、中も綺麗な状態でした。
中に入ってからは4人で探索し、11時頃まで粘ったのですが、何も起こらず、
次の日、部活だったので帰ろうと思っていました。
するとクラスメートのC君が、
「何も起きないと面白く無いから、一人ずつ中に入って、二階に行って手をふろう」
と提案しました。
私は若干反対だったのですが(時間が遅かったため)他の二人はC君に煽られ、一人ずつ行く事は決定しました。
A君、C君、B君、僕の順番となり、早速A君が一人で学校の中に入っていきました(その間私達は外にいました)
3分も立たない内にA君は二階の窓から顔を出し、余裕そうな表情で、
「おーい、楽勝だぞこんなの」
と笑顔で手を振ると、すぐに、
「じゃ、もう降りるわ」
と言い、窓から顔が消えました。
引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/
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私達は、何も起きなかったことに、少々落胆していたのですが、
A君が消えてからすぐに、
「やばいぞ」
というA君の声がしました。
私達3人は顔を見合わせ、爆笑していたのですが(A君がビビったと思って笑っていた)
それから数分立っても、彼は帰って来ることはなく、
彼に心配した私達は、ついに中に入りました。
中は先ほどと何ら変わりはなく、私達は懸命にA君探しました。
10分程が経った頃でしょうか、私達の中で、
「彼は私達を驚かせるためにやった」
という考え出て、私達は帰ることにしました。
翌日部活に行くと、A君くんの姿はありませんでした。
夏休みが明けても、A君の姿はありませんでした。
心配になった私は、担任の先生に聞いたのですが、
ただ「病気で入院している」と言って、
その後は詳しく教えてくれませんでした。
それからA君は卒業するまで学校に来る事はありませんでした。
A君の身に何があったのでしょうか。何がやばかったのでしょうか。そしてあの出来事と彼の入院はなにか関係しているのでしょうか。
数年経った、今でもその事が頭をよぎります。
終
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