ぺろ ◆3pRM76ouijbS 『お盆』
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小さな離島の話だ。
その島はほぼ崖で覆われるような形で、漁港(兼船着き場)と小さな浜辺が一か所あるだけ。
もちろん島の産業は漁業一本、他は無い。過疎が止まることも無い。
その島には昔から少し変わった決まり事があって、それはお盆の間は浜辺が出入禁止になること。
理由は、島の坊さん曰く「亡くなった人が島に帰れる場所だから通り道として優先してあげるため」で、
「お盆に浜に行くと新しい仲間だと間違われて一緒に連れていかれるよ」が坊さんの口癖で、
大人がしっかり守ってる約束事だったのもあり子供達はそれを信じてお盆の間は家や学校、
漁港なんかで遊んでその約束は絶対に守っていた。
この坊さんは島にあった寺の住職だが、残念ながらすでに亡くなっていて寺ももう無い。
この時期に浜に入れない理由をしつこく聞いて教えて貰った。
昔、島の約束を破って子供2人が迎え盆に浜辺に行き、
誰もいない浜辺に波打ち際から浜へ上がる人の足跡を浜いっぱいに見つけてそれを写真に撮ったんだそうだ。
その後逃げるように家に帰って見た事を大人達に話したら、坊さんの所へ連れていかれ、
故人の道中を邪魔してしまったお詫びのお経をあげた。
引用元: ・【8月18日】百物語本スレ【怪宴】
その時撮った写真には、子供達の主張通りにたくさんの足跡が。
そのうちの浜に上がる足跡の1つの先に、男性がカメラを見て笑っている所がはっきりと写っていて、
その写真を住職はずっと寺で預かっていた。そのお盆に2人の子供のうち1人が夜の海に落ちて亡くなった。
間違いなく浜は帰り道だから邪魔をしたら絶対に行けないよ、という理由だ。
坊さんが昔寺で教えてくれていた事と同じだった。子供の事は知らなかったが。
ここからの話はちょっと前の話になる。
坊さんが亡くなった後にお寺を閉じるために島のみんなが知っている「預けていた写真」を探したが見つからなかったそうだ。
自分はその時点ですでに島と疎遠になっていて、唯一繋がりを感じられる時間は今住む街で島出身の知り合いと飲む時だけに。
誰が結婚した、誰の子供が生まれた、それから今年の夏は誰を送った、去年は誰を送った…と会話をする。
一年で一番暑い時期だから、体力が落ちていたから、そう考えればただの偶然なのかもしれない。
それでも、やはり夏のこの時期に人が亡くなる。
帰ってきた人が友達や家族を見つけて懐かしさと嬉しさのあまり一緒に酒を飲もうって連れていってしまうんだよ
参列した葬儀でおばあさんが泣きながら言っていた言葉は、あながち間違っていないんじゃないかと信じている。
【了】
八本目の蝋燭が消えました・・・
ぺろ◆3pRM76ouijbSさん、ありがとうございました
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せっけん◆5oOLgQPf6Xttさん、第九話をお願いします
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