101 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 00:16:50.49 ID:hqzLBEKk0
【第二十九話】名無し 様 『マンション』
これは小学五年生の頃の話。
当時住んでいた場所は一言で言うと小池真理子の『墓地を見おろす家』って
感じのロケーションで、八階建てのマンションとその駐車場を挟んだ裏手に
墓地が拡がって見える、そんなところだった。
で、ある夏の日にこのマンションの二階に住んでる同級生二人と肝試しを
やろうってことになったんだけど、どういうわけか次第に話が大きく
なっちゃって、しまいにゃあマンション中の住民を巻き込む計画になっていたんだ。
当日、アポなしで一軒一軒インターホンを鳴らして「肝試ししませんか?」
なんて馬鹿なこと聞いて回ってさ。
でも住民たちは意外にも真面目に取り合ってくれたりして、結果的には
かなりの人数が集まったんだ。
肝試し自体はシンプルに墓地を一周して備え付けのお堂にお参りしてから
駐車場まで戻って来るって感じで当たり障りなく無事に終わった。
余韻に浸りながら同級生の家の前で別れの挨拶をして帰る時だった。
一人は角部屋だったんだけど、その手摺りの向こうに誰だかのお父さんが
居たんだ。
周りは結構人が居たしそれも不思議じゃなさそうだったんだけどね。
ほんの束の間、振り返った時に一瞬だけ見えた気がするそのお父さんの
顔が今でも瞼に焼き付いている。
やっぱり派手なことをすると見易くなったりするのかな。
【終わり】
引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/
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