78 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/23(金) 23:29:09.06 ID:ME+Mw9fw0
【第二十一話】かいじゅうのこども◆dfdZ2nn4QE 様
子供のころ、祖母の家に泊まったときのことです。
祖母の家は古い木造の二階建ての家屋で、都会のマンション住まいだった僕は、ぎしぎし音をたてる急な階段、木の匂い、特に濡れた雑巾で拭いた後の、静かな中の虫の声、遠くの道路を走る車の音、、、祖母の家が、大好きだった。
夜は、一階に布団を敷いて、子供たちだけで寝ます。いとこたちと語り飽きたあと、みんなが寝静まった後の時間が、何よりも好きでした。
祖母の家は、これは木造にはよくあることなのでしょうか、、、天井が、ぎしぎしと音を立てる。僕にはその音が、別のものに聞こえていたのです。
それは、死んだ人たちの声でした。戦争で死んだ人たちの。遠くの海で、誰にも知られず、朽ちていった人たちの。
もしかしたら、幻かもしれません。
けれど、僕は確かに聞いていた。
確かに……。
[了]
引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/
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