36 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/23(金) 21:48:07.65 ID:ME+Mw9fw0
【第十話】 デルモンテ針山 ◆CoudB9M4c2 様 『首なし峠の由来』
そこは峠なんかじゃなかった。
土手へと続くただの細い路地だった。
首なし路地だとかっこ悪いので、誰かが峠と言い始めたのだろう。なんで首なしというのかも分からなかった。
首なし地蔵もないし、首なし遺体が発見されたこともない。それなのに首なし峠と昔から呼ばれていたらしい。
小学生の時、その首なし峠で蝉を捕っていた。
すると土手のほうから背広を着た男性が歩いて来るのが見えた。
夏だというのに背広なんか着て、暑くないのだろうかと奇妙に思った。
その男性、何が楽しいのかニコニコ笑いながらこっちに向かって歩いてくる。でもなんか変だった。
その男性は胴体の上に頭が浮いたように付いていて、首がない。首があるはずの空間からは、後ろの景色が見えている。
その景色の中に白いモノが現れた。
それは蝶のようにヒラヒラと舞い、男性の胴体と頭の間にある空間をすり抜けて僕のほうへ飛んで来る。
それは蝶なんかじゃなかった。
真っ白いエイのようなモノで、体を波打たせながら、真っ直ぐ僕の顔面めがけて飛んで来た。
うわぁぁッ!
僕は腕で顔面をガードしながら、尻餅を着いて倒れた。
立ち上がった時、首なし男も白いエイのようなモノも消えていた。
自宅へ逃げ帰って母親にそのことを告げると
「命の短い蝉を捕ろうとするから、バチが当たったんや」と言って母親に叱られたのです。
「完」
引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/
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