『エレベーター』
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私は現在はあまりないのですが、小さい頃はよく心霊体験をするという事がありました。
これはそんな私がまだ幼稚園ぐらいの頃の話です。
その頃の記憶ってほとんど残っていないのですが、今回の体験だけははっきりと覚えています。
母の知り合いが近くの病院に入院したという事でお見舞いに連れて行かれる事になりました。
しかし、相手は私の知らない方。
行ったところで話をするわけでもなく、次第に飽きた私は売店に遊びに行く事にしました。
その病院は今は大学病院として新しくなっているのですが、当時は何年も昔からある古い病院で、売店は地下一階にありました。
貰ったお小遣いでお菓子を買い、エレベーターで一生懸命背伸びして母達のいる階のボタンを押すとエレベーターが動き出します。
少ししてチーンという音ともに扉が開き外に出ると、そこは見た事のない階でした。
不思議に思って表示されている階を見るとそこにあるのはB2の文字、つまり地下二階でした。
仄暗い灯りの中、それほど長くない通路の先にあったのは霊安室でした。
私はボタンを押し間違えたかなと思い、もう一度エレベーターに乗り込み上の階のボタンを押しました。
エレベーターが動き出し、少しの時間の後チーンという音がして扉が開きます。
その向こうにはまた同じ景色、地下二階の景色でした。
ちゃんと押したはずなのになんで?
幼心ながら焦ってもう一度上の階のボタンを押してエレベーターを動かします。
扉が閉まって動き出すと、私はエレベーターの表示される階数を見ていました。
B2からB1、そして1へと変化する表示を見てホッとしました。
そして目的の階に着いてドアが開き、外を見た私の目にはまたあの仄暗い通路が写りました。
引用元: ・【8月18日】百物語本スレ【怪宴】
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「なんで!?」
慌てて表示を見るとそこにはB2の文字。
先ほどまで目的の階数が表示されていたはずなのに。
そして私はふとある事に気づきました。
奥にある霊安室の扉が少し開いているように見えたのです。
私はエレベーターから降りずに1階のボタンを押し、すぐさま閉まるボタンを連打しました。
エレベーターが動き出し、止まり、ドアが開くとまたそこは暗い廊下。
幼かった私はその時点で涙目になっていました。
そして奥の霊安室は先ほどよりも扉が開いているように見える、ではなく確実に開いているのです。
私は泣きながら母の事を呼び、もう一度エレベーターのボタンを押しました。
エレベーターが動きながら私はもう母に会えないんじゃないかと泣き続けていました。
チーンという音ともに開くドア。
その向こうには明るい廊下と何人もの患者さんがいました。
泣いていた私を見て、その中の人が迷子になったのかと受付まで連れて行ってくれ、無事にそこで母とも会う事ができました。
あれから何十年も経ち、あのエレベーターもなくなってしまいましたが、もしあの時ずっと地下二階から出れないでいたら、あの霊安室から何が出てきたのでしょうか。
終
ネヴィル◆5SharF2siAさん、ありがとうございました
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コッソリ◆.PiLQRq.0Aさん、第七十一話をお願いします
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