【洒落怖】百物語・七十五本目 「猫が居る」 :百物語2013本スレ

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244 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 04:52:23.92 ID:hqzLBEKk0

【第七十五話】「猫が居る」

僕が赤ん坊の頃の話だ。
よって僕に記憶は無く、これは母から聞いた話。
今、僕が住んでいる地元は、母の実家のある町だ。
だが僕が生まれたころ、僕の家族は父の仕事の都合で近くの市街地にある市営団地に住んでいた。
僕の父の仕事は工場勤務で忙しく、夜の帰りも遅く、休日もほぼ出勤。
結婚1年目の母は、幼い僕とほぼ2人で生活を送っていた。

僕の首が据わり、一人遊びをするようになった頃。
僕は部屋のある一点を見つめニコニコとするようになったという。
何度他の方向を向けても、必ずその方向に戻りニコニコとするのだ。
たまに、バイバイがしたいのか、手を振ったりもしていたそうなのだが、赤ちゃんの1人遊びと思い、母は気にも留めなかったという。
しかし、僕の行動はだんだんとエスカレートしていく。
少しずつ言葉を発するようになった頃からは、
「あ~、う~、ぶぁあう」
っと、誰かとおしゃべりをするような声を発し、時には楽しそうに笑ったりしだしたそうだ。
この時に違和感を感じたものの、そんなに気にはしなかった。

そんな生活が続き、僕が言葉をしっかりと話すようになったある日、
ついにその日は来た。

引用元: https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1377258497/

245 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 04:53:12.23 ID:hqzLBEKk0

(2/2)

「おかーさん、ねこがいるよ、ねこ」

拙い言葉で呼ばれた母は、ベランダの外にでもいるのだと思ったのだろう。
しかし、僕の指差した場所は違った。

「ねぇ、ねこ!ねこがいるよ、おかーさん」

僕が指を指していたのは、寸部違わず、かつて赤ん坊の僕が楽しそうに見つめていた壁だった。
さすがの母もぞっとし、その後しばらくは僕と2人で部屋で過ごすのが怖かったそうだ。
今でこそ「あの時おばあさんが居るとか言われなくて良かった」と笑い話ですんでいる話だが、
当時、訳のわからないことを喋る初めての子どもと2人きりで過ごした母の気持ちを推し量ると申し訳ない気持ちもある。
その団地は自分が幼い頃に引っ越してしまったため、僕に全く記憶が無いのが残念だ。
あの壁に何が居たのか、もう知る術はない。

[了]

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