【洒落怖】百物語・三十五本目 生霊 :百物語本スレ【怪宴】

百物語2012 怖い話
115 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 23:31:46.28 ID:YriqamUu0

猫日和(ねこびより)
題名:生霊
数年前の出来事です。
私は恋人と一緒に住んでいて、毎日を楽しく過ごしていました。

ある時期から、彼が頻繁に長電話をするようになったんです。
それはいつも二人で出掛けようとしてる間際や、食事を始める直前にタイミングを図るかのように
かかって来て・・・
普通なら「今出掛けるところだから」とか「食事中だから、かけ直すよ」と言うはずの彼が、
なぜかその電話だけには、どんな状況であっても断らずに出て、長々と会話をしていました。
私は詮索する性格ではないので、相手が誰かは尋ねたこともありませんでした。
彼の話では、大学時代の友人とのことでしたので、古い男友達くらいに思っていました。

それから数ヶ月たち、彼は東京に転勤になり、私達は離れ離れの遠距離恋愛になっていました。
でも、特に不安もなく毎日電話やメールのやり取りだけで安心していたのです。

一人寝にも慣れてきた、ある晩。
ふと寝苦しさに目覚めた私は、体が全く動かないことに気が付きました。
えっ、金縛り?! と思った私は、冷静に真言を胸の内で唱えながら、体を動かす努力をしてみました。
意外なほどアッサリと金縛りがとけ、再び眠りに落ちようとした途端、また金縛りになりました。
今度は、はっきりと背後から誰かにしがみつかれているような感覚があり、息遣いから女性であると解った
途端、ゾッと寒気が全身を走りました。
必死で体をひねって抵抗し「やめてっ!!」と大声が出た瞬間、しがみついていたモノは消えました。
横向きで寝れば金縛りにならないと聞いたことがあったので、横を向いて寝ようとしたのですが、
やはり金縛りになりました。
その金縛りは、数日に渡り、しつこく私を襲い続けました。
お陰で私は毎晩必死にもがき続け、ほとんど一睡もすることが出来ずに、すっかり参ってしまいました。

引用元: ・【8月18日】百物語本スレ【怪宴】

116 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 23:32:39.93 ID:YriqamUu0

(2/3)

そうこうする内、おかしな小包が彼あてに届きました。
差出人の名前は女性。瞬間、私は毎晩金縛り中にしがみついて来た女性だ!と感じました。
なぜそう感じたか?と言われても、直感としか言えませんが…。
彼宛の荷物ですし、普段は彼に確認してから開けたり、帰るまで保管しておいたりするのですが、
その時は嫌な感じがしたので、怒られるの覚悟で封を開けました。

中からは、石と水。あと、広告の裏に書きなぐったような文字で書かれた手紙でした。
石と水はには、聞いたこともない宗教団体の名前と、ご利益について書かれた説明書のような物が同封されて
いて、ひどく邪悪な気を放っているように感じました。
手紙には、
【○○(彼の名前)!この間は、会いに来てくれて嬉しかった。今は結婚しているけれど、ずっと愛してた。
もう一度やり直したい。もう寂しい思いをさせないで…。一緒にいて欲しい。そばにいて。】
という、彼への思いを、思いつくまま書いたような狂気を感じるような文章に交え
石と水に関連のある新興宗教の教祖の本について
【素晴らしいから、送るからあなたも読んで!信仰すれば一緒に幸せになれる!】
【今は野菜を作ってくらしていて、毎日幸せ!とても楽しい!あなたも野菜を作るべきよ!】
という、なんの脈略のない内容が散りばめられ、尋常ではない空気感でした。

117 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 23:33:12.81 ID:YriqamUu0

(3/3)
家に置いておくのが嫌だったので、水は流しに捨て、石は河原に捨てに行きました。
気味の悪い手紙は、とりあえず保管しておきました。
その晩は金曜日、週末で彼が帰宅して来ることになっていたので、見せようと思っていたのです。

彼が予定通り帰宅し、私は勝手に荷物を開けたこと謝罪してから、手紙を渡しました。
そして、いつも長電話していたのは、手紙の主である彼女では無いのか?と尋ねました。
彼は、そうだと言い、学生時代に付き合っていた彼女で、最近妙な宗教にハマっているので心配で
放っておくことが出来なかったのだと、私に話してくれました。
会いに行ったのも、その宗教を止めさせてまともになって欲しかったからだ、と。

私が初めて金縛りに合った日、それは、彼が彼女と会った日でした。
私は、金縛りに合ったことを彼に話しました。
石と水を送りつけてきたこと、手紙の内容のこと、彼女は尋常ではないと彼に言い、今すぐ手を切って貰えないかと頼みました。
彼は金縛りについては信じていないようでしたが、すぐに彼女に電話をして、
「恋人がいるから、二度と会うつもりも無いし、電話も手紙も止めてくれ。」と話をしてくれました。

本心から彼女が納得してくれたのかどうかは分かりません。
が、それ以後、私をしつこい金縛りが襲うことは無くなりました。
あれは彼女の彼への執着心が産み出した生霊だったに違いないと、私は今でも思っています。

終わり

118 :月明 ◆vQGKKdpBnE :2012/08/18(土) 23:43:26.27 ID:zKNb9dnH0三十五本目の蝋燭が消えました・・・
猫日和◆uT7xi0vwzYさん、ありがとうございました
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